2017年の厚生労働省の人口動態統計調査で乳児死亡率(出生1000対)は、過去最低の1.9となり、これは小児の急性期医療の成績が飛躍的に向上してきたことを示しています。この成績向上の恩恵により多くの方々が成人に達しておられますが、成人された方々の現在の状況は、受診の必要のない方から、今も受診を必要とされる方、そして受診は必要ないと、医師またご自身が判断した後に、再度受診を必要とされる方まで様々です。今、小児の医療に対する成人期の遠隔成績が明確になってきたことにより、健康寿命を伸ばすために継続的な医療・福祉の必要性が認識されてきました。
しかし、現行の医療・福祉制度においては、小児と成人とで、医療の関わり方と、医療・福祉を提供する側と受ける側のそれぞれにおいてその主体が変わります。小児医療では、全ての病気を小児科医が対応し、判断は往々にして親に委ねられますが、成人医療では、疾患毎に担当科が対応し、判断は基本的に本人が行います。さらに妊娠、出産、生活習慣病、がんなど成人特有の病態への新たな対応が必要とされます。このように医療の対象と主体が変化する中で、医療をうける本人の成長に合わせた自立を支援することが極めて大切です。また様々な理由で自立が困難な方への継続的な医療の提供体制の構築も重要となります。更に福祉制度も18歳を区切りに大きく変わることから、医療、福祉の小児期から成人期へ橋渡しをする移行期での支援体制が必要とされています。